ナッジ-行動経済学-
「ナッジ」という言葉があります。
相手に「気づき」を与えて、背中を軽く押してあげることによって、良い方向へ進む指針となるように仕向けることです。
行動経済学の用語なのですが、これが結構面白い。
この間、クーリエ・ジャポンを読んでいたら、トイレの清掃費が嵩んで悩んでいる海外の企業の話が載っていました。
特に男子トイレの、床の清掃の手間が大掛かりで、それに充てる人件費などの節約に悩まされているという話でした。
僕もよく見かけるのですが、目線のあたりに
「いつもトイレを綺麗に使って頂きありがとうございます」
など、あからさまに「綺麗に使えよ!」という意図が丸見えの張り紙などがあります。
これは個人的にはあまり良い印象は持ちません。
何故なら、「自分は"普通に"使っているつもり」だからです。
それに言い回しがくどく感じ、いっそストレートに
「トイレは綺麗に使ってください」
と書いてほしいと思ってしまいます。
これは「ナッジ」ではありません。
ナッジは、あからさまな印象を与えず、それとなく「そうさせる」技法です。
上記のクーリエ・ジャポンの例ですと、男子トイレの小便器の中心に小さなハエの絵をペイントしたそうです。
たったそれだけで、床の清掃コストが8割も抑えられたという結果を生み出しました。
「的があると、それに狙いを定めたくなる」という人間の行動心理を利用したのです。
このナッジには、
①強制してはいけない
②相手の自由を残しておく
という原則があります。
そうしたくなる、そうしなきゃ嫌だと思わせる。
そのような「ナッジ」を利用すれば、もっと快適で住みやすい世の中に変化させることができるかもしれませんね。