芥川龍之介について
僕の一番好きな作家は芥川龍之介です。
そして、一番好きな作品は「蜜柑」という作品です。
この作品は非常に短く、20ページあるかないかの内容ですが、人間の心情の移り変わりを精緻な文章で表した名作です。
とても貧乏でいつも目の下に隈を浮かべ、虚ろな目をしている人がいるとします。
周りの人間は「あいつは働く気がないみたいだ」「やる気が感じられない」と悪評を並べます。
ですが、実は彼は重病の母親の介護に忙しく、介護の合間を縫って身を粉にして働いていて、寝る時間がないので疲れきった顔をしていたとします。
周りの人間にはステレオタイプがあり、彼は「働いていない」「頑張っていない」などの烙印を押されます。
その彼の人知れず行っていた努力は、決して人に知られる必要はありません。
それをたまたま知った時の周りの人間の彼に対する評価はどうなるでしょう。
きっと180度、見方が変わるに違いありません。
上は例ですが、「蜜柑」はそのような人間の心の変化(マイナスからプラスへ転ずる際の滑らかな移り変わり)を綺麗に表していますので、気になった方は是非読んでみて下さい。